HTML5とWebアプリの現在→未来
ここ1,2年でiPhoneやiPadに代表されるモバイルデバイスの発展と普及には目を見張るものがあります。Androidもまたしかり、いよいよiPhoneを追い抜こうかという勢いです。iPhoneアプリやAndroidアプリに注目が集まり、多くのディベロッパーが参入しています。昨年海外では9歳の少年がiPhoneアプリを作ったというニュースもありました。
確かにスマートフォンが巷を席巻し、猫も杓子も「アプリ!アプリ」となっていますが、あえて言おう「HTML5とWebアプリの時代が来る」と・・・
iPhoneやiPad,またはAndroidのモバイルデバイスではネイティブアプリ(端末上でネイティブ動作するアプリ)が主流です。しかしこの流れは今後5年のうちに大きく変わってくるでしょう。もちろんiPhoneアプリが無くなると言う話ではなく、ネイティブアプリとWebアプリそれぞれが上手く棲み分けする形になってくると思います。その理由の1つが、HTML5の普及です。iPhoneやiPadには最も先進的な(悪く言えば先走りし過ぎてる)WebkitベースのSafariが載っています。Android端末には同じくWebkitベースのChrome、またはOperaが搭載されています。これらのブラウザはどれもいち早くHTML5とCSS3に取り組み、先進的に実装を進めています。
つまりiPhoneやiPad, Androidといった先進的なモバイルデバイスの多くには「HTML5とCSS3を使う環境が既にある」ということ。機は熟したのです。
HTML5関連APIで変わる?webアプリ
私はHTML5単体よりも、それに付随する形で策定が進められているWebSocke APIやGeolocation APIなどの関連APIに注目しています。実際に位置情報を取得するGeolocation APIはFirefoxやGoogle Chromeの最新版では利用できるようになっています。iPhone上でも動くようです。
他にもローカル上にデータを保存できるAPIや、ファイル選択ダイアログを提供する API、スクリプトでバックグラウンドタスク実行を行う為の仕組みなど様々なAPIの仕様が現在議論されています。もちろんその全ての仕様が確定している訳ではなく、ブラウザの実装状況もまちまちですが遠くない将来これらが使えるようになることを思うとワクワクしませんか?
続々と登場しはじめたHTML5製Webアプリ
HTML5+CSS3+JavaScriptで動くアプリは続々と増えてきています。最近見た中で「これはっ!」と思ったのが星海社が2010年9月にオープンさせた最前線。このWebサイトでは数々の漫画や書籍がブラウザ上から無料で閲覧できるのですが、このサイトでHTML5で作られたビューワーが採用されています。
他にもYahoo Laboが開発したiPad専用Webアプリ yubichiz(ゆびちず)や、アプリではありませんがHTML5モバイルアプリ用フレームワークとして注目されるSencha Touchなんてものもあります。sencha Touchはタッチイベントの取得やCSS3でスタイリングされたボタンなどが標準で用意されていて、iPadやiPhoneのwebアプリも比較的容易に作成することができます。
HTML5アプリを作る上で問題なのは開発環境とフレームワーク
iPhoneアプリを開発した方は良くご存知かと思いますが、Appleの用意した開発環境は素晴らしいですね。フレームワークも非常に洗練されていて、ディベロッパーにとってはとても作り易いSDKではないでしょうか。
一方HTML5はどうかというとW3CのHTML5 APIの仕様策定は道半ば。sencha Touchのようなフレームワークも広く普及しているとは言い難く、SDKとして使えそうなDreamweaver CS5はようやくアップデートでHTML5に対応したという状態です。
「優れたアプリは優れた開発環境から産み出される」これはiPhoneの事例からも良く分かることでしょう。しかし、現状HTML5でwebアプリを作ろうにも開発環境が貧弱すぎます。webアプリが普及する鍵は生産性を上げる優れたフレームワークと開発環境が必要にります。
開発環境に関しては本来ならばDreamweaverがその役割を担うべきでしょう。しかしFlashやAdobe AIRの領域と大きく被る可能性のあるwebアプリの開発環境を果たしてAdobeが真剣に検討しているかどうかは疑問です。AdobeからすればHTML5に喰われる可能性があるので、できるだけそういった(HTML5アプリを作り易くする)機能はDreamweaverに搭載したくないはず。この辺りはまさに二つの異なるベクトルを抱えたAdobeのジレンマでもあります。
Jobsが書簡で言ったようにAdobeにはHTML5の素晴らしいツールを是非とも出してもらいたいですね。それが例え自分の首を絞めることになろうとも・・・
WEBアプリの記事、共感できます。弊社でもhttp://smapli.com/ 「スマプリ」というHTML5やCSS3やJavascriptを主体としたWEBアプリポータルサイトを運営しております。
はやくHTML5関連のツールが充実するといいですよね。